伝統を受け継ぐ大工の家づくりの体験を通して大工の魅力を伝える
大工を育て続ける工務店・株式会社造家工房(三重県亀山市、代表取締役:亀井俊博)が、2024年5月~8月頃の期間、高校生以上の学生を対象に大工の予備校「のぼの大工塾」【特別講座】を開講します。
「伝統を受け継ぐ大工による木と土壁のデザイン住宅」を手掛ける弊社のモデルハウス建築を契機に、手刻み(木材加工)・建舞・竹小舞・土壁の4工程を体験してもらい、一緒に造り上げていく無料講座です。大工の魅力を伝え、なり手を育成するとともに、若者自身が大工にマッチしているのかを見極める機会となることを目的としています。
建設業界の課題
現在、建設業は高齢化と若者離れが進み、人手不足が深刻な状況に陥っています。総務省「国勢調査」によると、大工人口は2000年に約60万人だったのに対し、2020年には約30万人と、20年間で半減してしまいました。今後も減少し続けることが予想され、若手の入職・定着化を促進する取り組みが必要です。
なぜ若手大工が必要なのか、その理由は3つあります。1つ目は、高齢大工の引退や廃業により依頼先を無くし困っている人の受け皿になるため。2つ目は、日本の伝統的な建築技術を後世に継承するため。3つ目は、古い寺社仏閣の保存のためです。
弊社の取り組み
上記の課題解決のため、弊社では2018年に「大工志塾」という国家プロジェクトの活用を始めました。若手大工が工務店で働きながら伝統的な建築技術を学べる3年間の育成プログラムです。組織的かつ継続的な大工育成の仕組みづくりのため、一般社団法人住宅産業研修財団と優良工務店の会によって設立されました。2020年にはSDGsの取り組みの一環として、自社で大工の予備校「のぼの大工塾」をスタート。本講座を通して、工業高校から2名が入社しました。その他にも、本気でものづくりをしたいという志の強い若者が集まり、現在は若手大工6名を育成中です。
今回の特別講座では、若手大工6名と一緒に勉強できる機会を提供します。実際に大工として働く同年代との学びを通して、大工になりたい若者が一歩を踏み出すキッカケづくりを目指します。
大工塾の取り組み
1.釘一本使わない伝統構法の家づくりを間近で体感できる
代表が宮大工時代に培った知識や技術、経験から、伝統構法による家づくりを得意としています。近年は、電動工具だけで家が建つようになってきました。しかし、日本の伝統技術の素晴らしさを知ってしまった私たちは、墨付けから木材の加工まで手作業で行います。若者にもその素晴らしさを体感してもらえると考えます。
【伝統構法による家づくりと現代の家づくりの違い】
- 伝統構法による家づくり
大工による墨付け(加工するための印)、刻み(木材の加工)を全て手作業で行います。木の特性を活かし、木と木で組み上げていく伝統的な建て方です。材料には、国産木材や土壁、漆喰など自然素材を使用します。寺社仏閣といった木造建築に用いられています。工期は6ヶ月と、現代の家づくりに比べ長いです。
- 現代の家づくり
木材はあらかじめ「プレカット」という機械による加工がされて、建築現場に届きます。その後は、電動ドライバーさえあれば家の大半は組み立てが可能です。合板や集成材、ビニルクロスなどの工業製品により建てられます。工期は1ヶ月から数か月と短いです。
2.手刻み・建舞・竹小舞・土壁がすべて体験できる
この体験で得られること
- 神社仏閣で使われている伝統工法の技を間近で見られる貴重な体験
- 竹小舞職人や左官職人とも交流することができ、建築の魅力など様々な話を聞くことができる
今後の展開
引き続き、定期的に「のぼの大工塾」を開催し、大工のなり手の育成をしていきます。今回のモデルハウスの完成後には、参加してくれた学生へのお披露目会やモデルハウスでの勉強会なども開催していきたいと思います。