古くても良いパーツは再利用
この度は、造家工房さんに東玉垣町の須賀社天王山社殿の大改修を依頼して、復元していただきました。
江戸時代にさかのぼると、牛頭天王神社として古くから地元に愛され、疫病を防ぐ神様として親しまれてきました。改修前の社殿は昭和34年の建造物で、65年の歳月のため部分修理を繰り返し老朽化が目立ちました。自治会では「再生促進」を推奨し、古くても良いパーツは再利用をコンセプトに、使える木材や彫刻物の再利用、彫金類は金メッキを施していただきました。今回、長尾大工には復元を優先に丁寧に仕上げていただき、4月から10月の期間で大切な社殿が完成。造家工房さんに発注して、本当に良かったと感じております。
(東玉垣第一自治会/和田様・北瀬様より)
造家工房のコメント
創建当時は檜皮葺きだった屋根ですが、経年劣化により応急処置としてその上に銅板が施されていました。
今回の改修では、風雨にさらされてきた社殿の屋根を銅板に葺き替えるとともに、屋根から下のほとんどを新しく作り変えました。社寺建築特有である屋根の線を生き生きと綺麗に出す仕事は難しく、銅板葺きの屋根下地の良し悪しは大工のセンスと経験が問われるところです。
また、神社では御扉を開閉する際「ギギギィ」と音が鳴るように扉の加工がされています。これは警蹕(けいひつ)と言い、簡単に言うと神様とお会いできる合図のようなもの。木は湿度や天候によって収縮が起こります。そのため一年を通して、御扉の開閉時に音が鳴るようにするためには特殊な技術が必要とされます。そんなことを若い大工に教えることができ、良き継承の場となりました。
- 竣工年:2024年