「そろそろエアコンの買い替え時期かな」そう検討されている方に、あらかじめお伝えしておかなければならない仕組みの変化があります。それが、2027年4月に施行される新しい省エネ基準、通称”エアコン2027年問題”です。2027年に向けて市場に何が起きるのか、そして住宅の現場に携わるプロとして、今お伝えすべき正確な情報と向き合い方を整理しました。
長く快適な住環境を維持するために、ぜひご一読ください。

「エアコン2027年問題」が私たちに与える影響
2027年4月に、家庭用エアコンの省エネ基準が大幅に引き上げられ、高い省エネ性能が求められるようになります。よって、これまでお手頃な価格で人気だったエアコンの多くが基準を満たせず市場から消え、本体価格のさらなる上昇が予想されます。
2027年からエアコン選びの「当たり前」がこう変わる
1. 低価格帯のエアコンが市場から消える
これまで5〜8万円ほどで購入できていたシンプルで低価格なエアコン。実は、こうしたモデルの多くが新しい省エネ基準をクリアできず、市場から姿を消す可能性があるのです。2027年度以降、基準を満たさない機種は製造・販売ができなくなるため、これまで「安さ」で選んでいた選択肢がぐっと狭まることになります。
2. 本体価格が約2倍に跳ね上がる
新しい環境基準をクリアするためには、高性能な部品の採用や抜本的な設計変更が必要不可欠です。それに伴い、メーカーの製造コストも上昇傾向にあります。これまで10万円以下で購入できていたスタンダードな機種も、今後はラインナップが減り、販売価格がこれまでの1.5倍から、場合によっては2倍近くまで上昇すると予測されています。
3. 修理・メンテナンスへの影響
エアコンに入っている冷媒(温度の高いところから低いところへと熱を移動させるための物質)の規制強化により、ガスが手に入らず、故障しても直せないという事態が起こるかもしれません。特に10年近く使っているエアコンは、2027年を待たずに計画的な更新を検討する必要があります。
慌てて買い替える必要はある?「損をしないための」向き合い方と対策
1.今のエアコンは引き続き使用できます
一番気になるのは「今使っているエアコンはどうなるの?」という点ですよね。ご安心ください。2027年になった瞬間に今のエアコンが使えなくなるわけではありません。現在設置されているものや、今販売されているモデルも、故障していない限りそのまま使い続けて全く問題ありません。大切なのは”次に壊れたとき、今まで通りの予算では買えない可能性がある”と知っておくことです。
2.ご購入を検討中の方はお早めに
2027年度を境に低価格帯のエアコンが市場から姿を消すとなれば、駆け込み購入が急増する可能性があります。あわせて懸念されるのが、取り付け工事や修理の大幅な遅れです。特に夏場などのピーク時は、待ち時間が長期化するおそれもあります。「そろそろエアコンを買い替えようかな」という方は、余裕を持ったスケジュールで計画されることをおすすめします。
3.電気代で元は取れる?新基準のエアコンが「お得な人」と「そうでない人」
新基準をクリアしたエアコンは、確かに優れた省エネ性能を持っています。日々の電気代を抑えられるため、「高くなった本体価格の差額を、数年分の電気代節約で回収できる」というメリットも語られます。しかし、ここで注意したいのは、すべての人にその恩恵があるわけではないという点です。
- 恩恵が大きい人: 在宅時間が長く、LDKなどで長時間エアコンを稼働させる世帯。電力使用量が多いほど、最新機の「燃費の良さ」が家計を大きく助けてくれます。
- 恩恵が少ない人: 寝る時だけ使う寝室や、単身ワンルームなど、使用時間が短いケース。この場合、節約できる電気代よりも本体の価格上昇分の方が大きく、10年かけても元を取るのが難しいのが現実です。
設備の変化に振り回されない、息の長い住まいづくりを
エアコン2027年問題は、私たちの暮らしとエネルギーの関係を改めて見つめ直す一つの節目です。
本体価格の上昇やラインナップの変化といった動きは避けられませんが、2027年になったからといって、今ある暮らしが急変するわけではありません。大切なのは、情報の波に飲まれて慌てて設備を新調することではなく、ご自身のライフスタイルや、今の住まいでの過ごし方を冷静に見極めることです。
エアコンはあくまで、暮らしを補助する道具の一つ。私たちは、最新設備のスペックだけに頼り切るのではなく、住まいそのもののポテンシャルや、日々の暮らしの工夫を大切にしたいと考えています。
これからのエアコン選びや、将来を見据えた住まいのメンテナンスについて迷われた際は、ぜひお気軽にご相談ください。機器の基準が変わっても、変わらず心地よく過ごせる住まいづくりを、共に見つけていきましょう。
