建築基準法改正によるシックハウス対策 ホルムアルデヒド以外の物質は無視?!

1990年代後半、有害物質による住居内の室内空気汚染が大きな社会問題になりました。そのため2003年7月には建築基準法の改正が行われ、「シックハウス対策」が義務づけられました。そうして、シックハウス症候群の患者さんは減ったのでしょうか?

2003年スタート シックハウス対策にはどんなものがある?

■有害な化学物質の使用禁止、または制限

シックハウス症候群が大きな問題となる前から特に有害だと判断されていた「13品目の化学物質」について、室内濃度の数値が定められました。そして、その中の「クロルピリホス」「ホルムアルデヒド」は規制の対象となりました。

クロルピリホス

従来は柱や土台に吹き付ける防蟻剤として使用されていましたが、一切の使用が禁止となりました。ただし、建築物の部分として5年以上経過したものはすでに揮発されたとみなされ、規制の対象外です。これは中古物件や古民家などで、古材を使用する時に規制がかかってしまうのを防ぐためです。
ホルムアルデヒド

発散されるホルムアルデヒドの量に応じて、F☆☆・F☆☆☆・F☆☆☆☆とランク付けし、それに応じて内装仕上げに制限が設けられました。F☆☆☆☆が1番発散量が少ない(=比較的安全)ということで、建築会社はこの建材のみを選び使用するようになりました。しかし、絶対に安全というわけではありません!
住居内の室内に充満する量は確かに少なくなりましたが、ゼロになったというわけではないからです。
国土交通省住宅局 快適で健康的な住宅で暮らすために 改正建築基準法に基づ くシックハウス対策 より引用

■機械換気設備の設置を義務付け

建材から化学物質が発散されると、室内の空気に混ざり汚染されてしまいます。そのまま空気を吸ってしまうと、頭痛・めまいがするなどシックハウス症候群になりやすくなってしまうのです。その対策として、24時間ずっと換気ができる機械換気設備の設置が義務付けられました。これを「24時間換気システム」と言い、3種類の換気方法があります。

第一種機械換気・給気ファンと排気ファンを用いるもの
・熱交換器を設置することで給気と排気の熱交換が可能である
第二種機械換気・給気ファンと排気口を用いるもの
・気密性の低い建物では、室内の湿気が壁体内へ侵入し、内部結露の原因となる場合がある
第三種機械換気・給気口と排気ファンを用いるもの
・室内の気圧が外部より低くなるため、壁内や天井裏などの空気が室内に流入する場合がある
シックハウス診断士公式テキスト より引用

しかし、シックハウス対策に義務付けられた24時間換気は新たに問題を生み出してしまいました。詳しくはこちらをご覧ください。

■天井裏などの制限

寝室やリビングといった居室は、先程説明した「内装仕上げの制限」と「24時間換気システムの設置」が義務付けられていますが、居室以外の部分についても制限が設けられています。これは天井裏・床下・壁内・収納スペースなど、居室と隣接する部分からのホルムアルデヒドの流入を防ぐためで、以下の①~③の措置が必要です。

①建材による措置
天井裏などにF☆☆☆以上の建材を使用するか、告示対象外の建材を使用する。第1種、第2種ホルムアルデヒド発散建築材料は使用しない。

②気密層、通気止めによる措置
気密層または通気止めを設けて天井裏などと居室を区画する。気密材料を連続して隙間なく設置して、居室と天井裏などの間の通気を遮断する。

③換気設備による措置
居室と同様に、第一種機械換気・第二種機械換気・第三種機械換気のどれかを設置する。
シックハウス診断士公式テキスト より引用

シックハウス症候群への効果は?

もちろんハウスメーカーや工務店はこれらの建築基準法に従って、施主が安心して暮らせる基準をクリアした家づくりをしました。そうして確かに住居内のホルムアルデヒドの量は少なくなったことでしょう。しかし、公益社団法人 住宅紛争処理支援センターのシックハウス症候群に関する相談件数のデータをもとに作成した下記のグラフを見ると、一時減少したものの2007年より増加傾向にあることが分かります。
この対策はあくまでホルムアルデヒドのみが基準値以下なら安全ということ。つまり、シックハウス症候群の原因となるものがすべて取り除かれたわけではないのです。

みんなが当然安全なものだと普段何気なく使っている物が、シックハウス症候群の直接的・間接的な原因になっているかもしれません。自分の生活を見直すというのも大事だと思います。

公益社団法人 住宅紛争処理支援センターのデータをもとに作成

参考:「アレルギーの人の家造り」著者 足立和郎/チューモンズーHP

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弊社の家づくりで使用する建材は自然素材のものです。

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ぜひご相談ください。

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